下痢

元気なのに続く下痢とは?下痢について

下痢は誰もが一度は経験したことのある、身近な症状です。多くは短期間で治まりますが、中には何週間も長引くということがあります。
元気がなく下痢が続くという場合は受診につながりやすい一方で、元気だからと下痢を放置してしまう方がいらっしゃいます。
下痢が続く場合には、元気があっても何らかの大腸の病気が疑われるため、当院にご相談ください。

できるだけ早く
受診すべき下痢と
その他の症状

できるだけ早く受診すべき下痢とその他の症状

  • ほとんど水のような下痢が続いている
  • だんだんと下痢が悪化している
  • 1日に3回以上、下痢が繰り返される
  • 下痢が出た後も腹痛が続く
  • 下痢が出た後も残便感がある
  • 下痢に血液が混じっている
  • 吐き気・嘔吐、発熱を伴う下痢
  • 下痢と便秘が繰り返される
  • 同じものを食べた人が下痢をしている
  • 最近受けた便潜血検査で陽性だった

1つでも当てはまる場合には、できるだけ早く当院にご相談ください。

問診で聞かれること

長引く下痢で受診された患者さんには、主に以下のようなことをお尋ねします。記録したメモをお持ちになるなどして、できる限り詳しくお聞かせください。また服用中の薬がある方は、お薬手帳をお持ちください。

  • 下痢が始まった時期、頻度
  • 便の状態(色・形・におい等)
  • 最近の食生活
  • 腹痛、吐き気、嘔吐、血便など他の症状の有無
  • 服用中の薬

下痢の3つの症状と原因

下痢は原因ごとに、大きく以下のように分類されます。

分泌性下痢

食物アレルギー、食あたり、解熱鎮痛剤などの薬の副作用によって腸粘膜が障害されて起こる下痢です。
腸管内の分泌液の量が多くなることで、下痢になります。

浸透圧系下痢

マグネシウム含有の下剤、ソルビトールやキシリトールを含む食品・サプリメントを摂取すると、腸管内の浸透圧が上昇します。腸管で内容物(便)の水分が適切に吸収されないため、大量に摂った場合には便がやわらかくなります。

運動亢進性下痢

食べ過ぎ、飲み過ぎ、刺激物の摂り過ぎ、ストレスなどによって腸の蠕動運動が亢進され、腸管の内容物が早く送り出されます。これにより水分が適切に吸収されず、下痢になります。

慢性的な下痢で
疑われる病気

下痢が長引く場合に疑われる主な病気をご紹介します。

過敏性腸症候群

ストレスなどを原因として、腹痛、下痢、便秘といった症状が繰り返される病気です。急な腹痛と下痢を伴う「下痢型」、お腹の張りと便秘が続く「便秘型」、これらが交互に繰り返される「混合型」に分けられます。

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潰瘍性大腸炎

大腸粘膜の慢性的な炎症によって、びらん、潰瘍が形成されます。腹痛や下痢、血便などの症状を伴います。
クローン病とともに、炎症性腸疾患に分類されます。

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クローン病

炎症が大腸に限られる潰瘍性大腸炎に対して、クローン病では口~肛門までのどの消化管でも炎症が起こり得ます。頻度が高いのが、小腸と大腸です。

大腸がん

症状の乏しいがんですが、進行すると腹痛や血便、下痢、便秘、便が細くなるといった症状が現れます。早期に発見することができれば、侵襲の少ない内視鏡的治療の適応となります。

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大腸ポリープ

ほぼ無症状ですが、大きくなった場合には便の通過を妨げ、便秘、血便などの症状が見られることがあります。大腸ポリープの中にはがん化するものがあるため、大腸がんの予防のためには定期的な大腸カメラ検査と、必要に応じたポリープ切除が大切です。

下痢の検査

下痢の検査

便の状態、下痢以外の症状の有無、服用中の薬、既往歴・家族歴などをお伺いした上で、大腸の病気が疑われる場合には大腸カメラ検査を行います。
大腸カメラ検査では、がんが疑われる病変の生検・病理検査を行ったり、がん化のおそれのあるポリープをその場で切除するといったことも可能です。

下痢の治療

下痢の治療

下痢自体の治療としては、急性下痢・慢性下痢に対してそれぞれ以下のような治療を行います。
大腸カメラ検査で大腸の病気が見つかった場合には、その病気に応じた治療も必要になります。

急性下痢

脱水に注意しながら、小まめに白湯、経口補水液などで水分補給を行います。口から水分を摂ることが難しい場合には、点滴治療が必要になります。
食事は状況により1食~1日控え、症状が落ち着いてから少量ずつ、消化の良いものを摂っていきます。はじめはうどん、お粥、食パン、具なしのスープ、豆腐などがおすすめです。その後約1週間かけて、様子を見ながら普段の食事へと戻していきます。
感染性腸炎が疑われる場合には、まわりの人の感染を防ぐため、小まめに手洗いをするようにしてください。

慢性下痢

急性下痢とは異なり、基本的に絶食の必要はありません。ただし、食べ過ぎ・飲み過ぎ、刺激物の摂り過ぎなどは避け、消化の良いものを摂ることを意識しましょう。肉類は脂の少ない部位を選ぶこと、調理の際には煮る・茹でる・蒸すといった油を使わない方法を選ぶことも大切です。

下痢のとき
下痢止め・整腸剤
どっちが効く!?

下痢止めには、腸管の運動を抑制する作用、腸内の細菌の殺菌作用、粘膜を保護する作用などがあります。通常、すぐに下痢を止めたいという場合に使用します。その下剤の作用、下痢の原因などを考慮して、適切な下痢止めを選択します。
一方の整腸剤は、腸内の悪玉菌を抑える作用、善玉菌を助ける作用があります。下痢止めとは違い、腸の調子を整えることに主眼が置かれています。
市販薬を購入する時など、薬剤師によく確認するようにしましょう。